1945年の石油危機:「松根油」から「都市鉱山」へ モリナガ・ヨウさんが危惧する未来
イラストレーター・絵本作家のモリナガ・ヨウさん(60)は緻密な取材と描写で、ジャンルを問わず対象の「本質」に迫ってきた。銃後の暮らしをテーマとした雑誌の連載企画も担当。そこで見えてきた、現在との共通点とは。【聞き手・高橋昌紀】
◆愚かなことをしたと思います。1936年生まれの父から思い出話を何度も聞きました。戦時中は佐賀に住んでいて、子どもの記憶ですが「飛行機の燃料にするために集めた」「飛行機がフラフラと落ちてしまったのを見た」などと語っていた。いつか作品に描きたいと思っていました。
雑誌「歴史群像」に連載中のイラストルポ「迷宮歴史倶楽部(くらぶ)」で2016年、「松の根から重油とガソリン」を掲載しました。記録写真などがあり、作業の様子を描きました。
新潟で写された1枚は、松の根をソリか何かに載せて引っ張っています。作業をしている人たちは、みのを羽織って足元はわらじや足袋。ほとんど江戸時代ですよ。「近代戦の銃後」とはとても思えぬ風情です。
埼玉県平和資料館には乾留釜が残っていました。物資不足で、そもそも松の根を蒸し焼きにするまきが足りなかったそうです。当時も「無駄では」との声もあったようですが、走り出したら止まらなかった。
◆1回目は「風船爆弾」です。その後「防空頭巾発達史」「(空襲対策を描いた)窓ガラスには紙を貼れ」「金属類回収」「ラヂオ体操」「上野水族館の魚たち」「わら文化」「竹槍(やり)」などと続けてきました。資源のない日本の国民は、実に真面目に取り組んでいたと思いますね。
ただし、全ての「オチ」が同じになってしまうんですよ。日本は貧しくて、とても戦争などできない――。調べれば調べるほど、その結論に至りました。人間のエネルギーが間違って使われている。笑えないコントの繰り返しになってしまう。
建設関連のイラストルポをしたことがあり、コンクリートにそこそこ詳しくなりました。「迷宮歴史倶楽部」では千葉県茂原市の掩体壕(えんたいごう)(航空機防護用施設)も取材したのですが、コンクリートの品質のひどさが分かった。戦時中の物資不足の一端です。
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