ダンスと歌で被災者励まし 兵庫県警カラーガード隊HOPPSの30年
兵庫県警音楽隊の女性警察官で構成されるカラーガード隊「HOPPS(ホップス)」が今年、発足30年を迎えた。阪神大震災(1995年)では仮設住宅を訪問し、ダンスと歌声で被災者を元気づけた。活動に葛藤を抱えたときに励ましてくれたのは喜んでくれる県民の姿だった。県警と県民の「懸け橋」として、防犯と防災を広げている。【前田優菜】
初代リーダーで現在は明石市の県警運転免許試験場に勤務する塩崎美幸巡査部長(55)によると当初は仮設住宅を巡る「ミュージックパトロール」に取り組んだ。孤独死が相次ぐなか、県警音楽隊と一緒に被災者を元気付けた。
塩崎さんも当時住んでいた神戸市垂水区の自宅で被災。自宅は無事だったが、電車が不通で勤務していた尼崎中央署(現・尼崎南署)にはオートバイで通勤した。途中の同市長田区では「家の燃えた臭いが充満していた」という。
「震災を経験したからこそ気持ちがわかる部分もある。自分よりも被害が大きくて大変な方ばかりだったので、少しでも明るい気持ちになってほしかった」。塩崎さんは数十カ所の仮設住宅を訪問。音楽隊が演奏する童謡「故郷」や「赤とんぼ」などに合わせて手拍子をし、ポンポンを振った。
苦労も多かった。イベントで和太鼓演奏することになったが、専用の練習部屋もなく、芦屋市の県警察学校の屋外広場を使うことに。和太鼓の代わりに丸太を叩いて、月の半分を練習に費やした。
イベントの訪問先で県民から「演奏なんかしてないで警察としての仕事をしろ」などと言われたことも。「警察官なのになんで踊りばっかりしているんだろう」と葛藤した。
だが、ダンスを踊ると子どもから大人までたくさんの人が喜んでくれた。やりがいを感じ、「リーダーなら音楽がわかんないとあかん」と幼稚園のときに習っていたピアノも再び習い始めた。メンバー同士で振り付けなどで意見をぶつけながら、試行錯誤する日々は楽しかったという。
現リーダーの顕谷(あらや)朱里(あかり)巡査長(27)は「これからも笑顔を忘れずに人を元気づけたい」。もう一人のリーダー、久保田詩織巡査長(27)は「県内の啓発活動に華やかさを添えながら、傷ついた人にも寄り添うホップスを続けたい」と話す。
ホップスの発足当初のあいさつは「県民との音の懸け橋として来ました」だった。塩崎さんは「ホップスを見て、厳しそうに見える県警にも柔らかい部分や優しい部分もあると知ってほしい。県民との懸け橋で居続けてくれたらうれしい」と今後の活動に期待した。
県警音楽隊の女性警察官で構成されたカラーガード隊。県内のイベントでマーチングなどを披露し防犯や防災を呼びかけている。県警を表す英語「Hyogo Prefectural Police」の頭文字と、ぴょんと跳ねる「Hop」、笑顔の「Smile」を組み合わせ名付けられた。現在は5人で活動している。
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