「誇るべき9条、曲げてはならぬ」 被爆した96歳画家の願い
青白い光が目に飛び込んできた。「ドーン」という爆音が響き、爆風に襲われた。1945年8月6日。山形県鶴岡市の洋画家、三浦恒祺(つねき)さん(96)は、父の転勤で暮らしていた広島市で被爆した。
旧制広陵中(現・広陵高)の2年生、15歳の夏だった。朝早くから同級生4~5人と勤労奉仕をしていた。陸軍の工場が郊外に移転することになり、机や椅子などをトラックに積み込んだ。移転先に到着し、荷物を下ろした。原爆投下は、まさにその瞬間だった。爆音がした方向を振り返ると、立ち上るキノコ雲が青空を覆い尽くそうとしていた。
爆心地から北に3・5キロ離れた場所から、トラックに乗り込んで帰路を急いだ。全焼した家々のがれきや折れた電柱が道路をふさいだ。途中から徒歩で市街地を目指した。
街は炎と煙に包まれていた。全身を赤黒く大やけどしていた人たちが、はがれた皮膚や破れた衣類をぶら下げ、さまよっていた。「水をくれませんか」。手を差し出してそう懇願されるたび、「すみません、持っていません」と通り過ぎた。
戦後、日本は憲法で「平和主義」を掲げた。9条1項で、国際紛争を解決する手段として戦争を永久に放棄するとした。さらに、2項でそのために「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と踏み込んだ。日本は「平和国家」としての歩みをスタートした。
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