AI新世紀:「人類絶滅が近づいた」 AI研究の巨匠ベンジオ氏の警告
今年7月、米オープンAIと米アンソロピックがそれぞれ開発する人工知能(AI)が、他企業のシステムに侵入したことが相次いで明らかになった。人間の意図に反してAIが「暴走」した事故。開発競争の中で安全性を担保する必要性が一層高まっている。
現在の生成AIの基礎を築いた「AIのゴッドファーザー」、カナダ・モントリオール大のヨシュア・ベンジオ教授は、AIの破滅的なリスクを案ずる一人だ。毎日新聞のインタビューに対し、人類が「絶滅」の危機に直面していると強い警告を発する。
米アンソロピックの最先端AI「クロード・ミュトス」の登場は、人類に新たな脅威をもたらしつつある。今後どのように向き合っていくべきか。各界の専門家に聞く。 <関連記事> オードリー・タン氏が説くAIと民主主義=8月28日6時公開予定 サカナAI社長が語る「日本の強み」=8月31日6時公開予定 AI安全研究者が展望する超知能AI=9月1日6時公開予定
AIのリスクに気付いたのは、今から13年ほど前のことだった。共にAI研究を先導していたヤン・ルカン氏(元・米メタ)とジェフリー・ヒントン氏(元・米グーグル)が大手テック企業にリクルートされた時だ。
企業がAIに関心を抱いたのは、広告配信の自動化に役立つからではないか、という印象を持った。AIによって、個人に適した広告を自動で配信できる。これは、必ずしも良いことではないと感じた。なぜなら、AIが影響力を持ち、私たちを説得し、意見を変えてしまうことができるからだ。これは、民主主義にとって危険なものになり得ると考えた。
そして2023年、「AIによる(人類)絶滅のリスクの軽減は、パンデミックや核戦争と並んで、世界的な優先事項とされるべきだ」という声明を出した。(グーグルを退いた後の)ヒントン氏や、オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)ら、専門家や業界大手トップとの連名だった。
あれから3年が経過したが、状況ははるかに悪化した。私たちは絶滅のリスクに、かなり近づいてきている。この3年間で、人間より賢い機械の開発が大きく進み、完全自律型AIも発展した。
AIが意図を持って人間の意に反した振る舞いをするという懸念は、3年前は理論上のものに過ぎなかった。しかし、この3年間で、AIがうそをつき、人を欺き、私たちの管理を逃れ、シャットダウン(システム停止)を拒み、さらに…
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