iPS細胞20年 再生医療や新薬、実用化はどこまで近づいた?
京都大の山中伸弥教授が、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の作製を発表してから今月で20年がたちました。iPS細胞はさまざまな臓器や組織を構成する細胞に変化でき、再生医療や新薬の開発など、世界中で研究が行われています。20年間で実用化にどこまで近づいたのでしょうか。また、どのような課題が残されているのでしょうか。
A 山中教授のチームは、iPS細胞と同じように多様な組織に変化でき、受精卵から作る胚性幹細胞(ES細胞)で特徴的に働く四つの遺伝子に注目しました。遺伝子の運び屋となるウイルスを使ってマウスの皮膚細胞にこの四つの遺伝子を組み込み、数週間培養することでiPS細胞を作りました。ただ、別のウイルスを用いるなどして、iPS細胞を作製したという報告もあります。また、人工多能性幹細胞は英語で「induced pluripotent stem cell」と表記するため、山中教授がその頭文字を取り「iPS細胞」と名付けました。
A 多くの細胞から作ることができますが、皮膚や血液など採取しやすい細胞がよく使われます。また、山中教授のチームは子どもから高齢者までさまざまな年代の日本人の皮膚から取った細胞でiPS細胞を作製することに成功しています。年齢による多能性などの違いもほとんどないそうです。
A ES細胞は受精卵を破壊する必要があるため、倫理的な問題が課題となります。また、ES細胞は他人の受精卵を使いますが、iPS細胞は患者自身の細胞から作製することができ、臓器や組織などに培養して移植しても拒絶反応が起こりにくいと考えられています。
A 2014年9月には理化学研究所などのチームが、視野の真ん中が見えなくなってしまう病気「加齢黄斑変性」の治療のため、損傷した網膜の細胞を再生・移植して視力の維持や改善を目指す治験を実施しました。iPS細胞を用いた再生医療としては世界初でした。これ以外にもさまざまな研究や治験が進行中です。
特に、大阪大発のベンチャー「クオリプス」が開発した、心臓に直接貼る心筋シート「リハート」と、製薬大手・住友ファーマがパーキンソン病治療用に開発した「アムシェプリ」は今年3月、条件・期限付きではありますが、iPS細胞を使った再生医療製品として世界で初めて製造販売が承認されました。
A 二つとも症例が少なく、「仮免許」の段階です。これから治験を重ねて有効性を示し、本承認にこぎ着けなければなりません。これまで、条件・期限付き承認から本承認に至った再生医療製品はなく、これからが正念場となります。
iPS細胞で世界リードした日本 巨額支援ゆえに「抜け落ちた研究」 2/19 18:46 深掘り 図解あり 効果に期待も「楽観できぬ」 iPS細胞使った治療法開発が抱える課題 2/19 18:42 深掘り iPS細胞使った再生医療製品を承認 世界初 夏以降に治療で使用 3/6 09:04 出張もゴルフも iPS細胞由来の心筋シート治験で「普通の生活」に 2/19 18:50 ヒトiPS細胞であごの骨を再現 世界初 再生医療や難病治療に期待 7/2 20:03 iPS細胞で脊髄損傷治療「2人の重症度が改善」 慶応大など発表 3/21 20:19 あわせて読みたい この記事の筆者 近藤諭
この要約はメディアの公開フィードから5Newsが集約したものです。 文脈も含めた全文はmainichi.jpにあります — コンテンツの権利はMainichiに帰属します。