大阪で100年超の喫茶店 アルバイト→4代目店主になった女性
大阪市中央区のオフィス街の一角に、大阪では最古級の老舗喫茶店がある。1921年創業の「平岡珈琲(コーヒー)店」だ。厳しい暑さが続く8月上旬、ほっと一息つきに訪ねてみた。
店内は、3~4人用のテーブル席四つと4人掛けのカウンター席一つのこぢんまりとした空間。BGMはかかっておらず、100年近く時を刻み続ける壁掛け時計の「チクタク」という規則正しい音が静かに流れる。
平岡珈琲店は、千葉県でしょうゆ醸造所を営む家庭で育った初代店主・小川忠次郎氏が創業。たまたま訪れた東京・銀座の喫茶店で飲んだコーヒーの味に魅了され、結婚を機に移り住んだ大阪で開店を決意した。
大阪では当時、喫茶店はなじみが薄かったが、徐々に浸透。忠次郎氏から親子3代で、伝統の味を守り抜いてきた。だが、建物の老朽化などもあり、3代目店主が昨年末での閉店を決めた。
カフェ巡りが「大の趣味」というたむさん。コロナ禍の2022年、「近所で雰囲気がいい店」と感じていた同店の求人に応募し、アルバイトを始めた。一生懸命働く中で、1世紀を誇る店の伝統を肌で感じてきた。
迷いはなかった。「私に継がせてください」――。3代目店主に思いを伝え、了承を得た。閉店後は一時期、付き合いのある別の喫茶店で間借り営業し、7月に元の場所に近い現在地で本格オープンを果たした。
百年珈琲は、初代から受け継がれる鍋で粗びきのコーヒー豆を煮出し、木綿を使って丁寧にろ過する独自の製法でいれる。雑味が少なく、コクのある香り高い味わいが楽しめた。百年ドーナツは、小麦粉や卵、砂糖などシンプルな材料を使い一つずつを手作り。甘さは控えめだが、厚みがあり食べ応えがある。
店には、SNSを見た観光客らもよく訪れるという。「時代によって嗜好(しこう)も変化していく。先代から受け継がれたレシピに頼るだけでは、この先は難しい」。新メニューも加えたり、主力商品のコーヒーやドーナツの味も微妙に変化させたりするなど、試行錯誤を重ねる。
大阪市中央区備後町1の6の7。大阪メトロ堺筋本町駅の12番出口から徒歩3分。営業時間は午前11時~午後7時(ラストオーダーは午後6時半)。金、土曜が定休。臨時休業などの情報はインスタグラムで確認を。
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