知られざる東大相撲部の世界 30日、寺浦主将が全国体重別に出場
堺市の大浜公園相撲場で30日に開催される「第51回全国学生相撲個人体重別選手権大会」(毎日新聞社など主催、大正製薬、伊藤園協賛)=全国体重別=に、3年ぶりに東京大の選手が出場する。相撲部主将の寺浦輝選手(4年、筑波大駒場)が、最軽量級の75キロ未満級で東日本予選を勝ち抜いた。大会への意気込みとともに、世界中から優れた頭脳を持つ学生が集う東大で相撲に励むチームについても聞いた。【大村健一】
「正攻法では勝てない。これしかない」。全国体重別の予選を兼ねた7月の東日本学生相撲個人体重別選手権大会(東日本大会)。寺浦選手は勝負の一番に練り上げた策を持ち込んだ。全国への切符を懸けた2回戦。相手は格上の明治大の選手だった。
仕切り線から大きく下がって両手を突く。立ち合いでは一度、ふわりと上体を起こして相手の目線を上げ、そこから低く踏み込む。前まわしをつかむと、そのまま寄り切った。考え抜いた作戦が実り、東大の選手としては2023年大会以来となる全国体重別の切符をつかんだ。
東大相撲部は1975年創部。昨年50周年を迎えた。現在の部員数は10人。軽量級の選手が多く、OBもしばしば胸を貸す。高校で相撲部に所属していた経験者はほとんどおらず、大学から競技を始めた部員が中心だ。学生相撲の主要大会以外にも、国公立大学の対抗戦や、京都大や名古屋大など旧帝国大7大学による「全国七大学総合体育大会」(七大戦)などが腕試しの舞台だ。
稽古(けいこ)は週3回。取組後に部員やOBが土俵脇で言葉を交わし、課題や長所を確かめ合う。そんなフラットな雰囲気が特徴だ。上級生がいないため3年生で主将を務める寺浦選手は「これまでの競技歴などバックグラウンドは千差万別。でも、ガリガリの体形で、あえて東大で相撲を始めようと考えた点は似ていて、お互いを尊重できていると思う」と話す。
寺浦選手自身も大学で相撲を始めた。小学校では水泳、中学校では将棋、高校ではハンドボールに取り組んだ。入学直後の勧誘をきっかけに相撲に興味を持ち、駒場キャンパス(東京都目黒区)内の稽古場で初めて土俵に上がった。そのとき、「これまでやってきたことがパーツのようにはまった」と感じたという。水泳で鍛えた体幹。将棋で磨いた相手の出方を読む力も生かすことができる。腰を落として相手を防ぐ姿勢は、ハンドボールのディフェンスにおける基本姿勢に通じていた。それぞれの経験が相撲につながった。
「対戦相手や自分。それぞれの強みと弱みを分析し理解して仮説を立てて土俵で試す。それが結果につなげられることが楽しかった」。相撲の魅力にとりつかれた。
寺浦選手は今回、階級の体重上限より10キロ軽い65キロで大会に挑む。身長178センチは75キロ未満級の選手としては高く、ひときわ細く見える。「体重を増やせていないのは自分の落ち度」と苦笑いしつつ、立ち合いで鋭く踏み込んでくる相手をいかに止めるかを白星に向けた課題に挙げた。
部をまとめる主将として、主眼に置くのは団体戦ではあるものの、個人として目標の一つだった全国体重別の大舞台。初戦の相手は昨年4強の強豪・鶴大陸選手(立命館大)だ。「少しでも爪あとを残したい」。寺浦選手はこう意気込む。
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