自宅を赤ちゃんポストにした女性 閉鎖までの4年間、揺れた考え
北海道当別町で個人が運営していた赤ちゃんポストが4月末に閉鎖した。匿名の親から育てられない乳幼児を受け入れてきた施設は、医療提供体制が整わず、行政側は「母子に危険がある」などとして問題視してきた経緯がある。施設の開設と閉鎖に際し、運営者の坂本志麻さん(51)に揺れた考えを聞いた。
5月25日、当別町で赤ちゃんポストを運営していた坂本さんの自宅を訪れた。屋外には滑り台などの遊具が置かれ、室内の壁の黒板には子供たちがアニメのキャラクターなどが描かれていた。
この施設は、熊本市の慈恵病院が07年に国内で初めて赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」を設置し、これに続く2例目となる赤ちゃんポストだった。だが、医療機関ではなく個人が運営している点で慈恵病院とは異なっていた。
「こういうことができるんだ」。当時は漠然とそう考えた。19年に札幌市で2歳の女児が虐待死した事件が起こり、「どうしたらこうした事件を防げるのだろう」と悩んだ。
そんな時、慈恵病院のポストに預けられ、里親の元で育った宮津航一さんのインタビューを目にした。「ゆりかごがなかったら、(養父母の)両親と会うこともできなかった。感謝している」という内容だった。施設を開設する意義を感じ、行動に移したという。
坂本さんによると、閉鎖までの約4年間で赤ちゃんポストに預けられた子はいなかったが、道内外の親と直接会い、重度の障がい児を含む15人の乳幼児を引き取った。
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