家族の傷を深めた被告の態度 知床沈没取材4年で触れた怒りと涙
事故時から船が出港したウトロ漁港がある斜里町で取材し、25年11月から始まった刑事事件の公判を判決まで傍聴した谷口拓未記者は、罪に問われた運航会社社長が法廷で見せた態度が、被害者家族が負った傷をさらに深めた、と感じたそうです。
上空を飛び交っていたヘリコプターのうちの1機が、臨時のヘリポートに降りてきた。私の耳には「遺体が見つかったか」という落胆した声が入ってきた。
「運航事業者の自覚も安全を守る意識もない社長の会社と知っていたら、絶対にカズワンに乗せなかった」。この4年間、被害者家族から折に触れ、同じような言葉を聞いてきた。
釧路地裁は6月17日、運航会社「知床遊覧船」の社長で業務上過失致死罪に問われた桂田精一被告(63)に対し、検察側の求刑通り、同罪の法定刑上限となる禁錮5年を言い渡した。
しかし、カズワンの男性船長(当時54歳)は20年夏の勤務開始以前は海上を航行した経験がなく、事故当時は船長歴2年目。知床遊覧船は人手不足だった。
海が荒れていた事故当日、船長は同業他社から運航中止を勧められていたという。地元の経験豊富な漁師も予定を約1時間繰り上げて全速力で帰港していたなど、リスクは明らかだった。
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